新たに法人を設立するとして、
株式会社と合同会社、どちらで設立すればよいのか
迷うこともあると思います。

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株式会社と合同会社

会社の形態は大きく分けて2つあります。
「株式会社」「持分会社」の2種類です。
(※有限会社は現在も見かけますが、現行の会社法制度では新規設立できないことになっています。)持分会社はさらに3つに区分でき、
「合名会社」「合資会社」と「合同会社」に区分ができます。持分会社の詳細な説明は省きますが、<
合名会社・合資会社⇔合同会社の違いは、無限責任社員の有無です。
無限責任社員というのは、会社が負った債務を、会社が債権者に対し返せなくなってしまった場合に
無限責任社員の財産から補填しなくてはならないような責任を持った社員のことを言います。
※ここでいう「社員」とは従業員のことではなく、「出資者」という意味になります。
株式会社の株主と同じ扱いです。合同会社では、このような責任の重い無限責任社員を置く必要がなく
出資者の全員が有限責任社員となるため、
持分会社設立にあたり利用されることが多いです。
有名な話ですが、AppleやAmazon、Googleの日本法人は「合同会社」という形態を
とっています。

株式会社と合同会社の共通点

出資者の責任

株式会社における出資者である株主と、合同会社における出資者である社員は
ともに有限責任社員です。
会社が追った債務を返せなくなった場合、個人の財産をもって弁償する必要がありません。
(※借り入れなどで、株主or社員=社長が、個人保証をしている場合などは除く)

税金の計算方法

また、法人税、消費税、地方税の計算方法においても、
株式会社、合同会社の形態の違いで異なることはなく、同じ計算をします。
どちらのほうが計算上有利ということもありません。

それでは実際にはどのような違いがあるのでしょうか?

株式会社と合同会社の相違点

設立コスト

一つは設立コストの違いです。
設立において要するコストは定款に貼る印紙代(電子定款の場合には不要)、
公証人手数料、謄本交付手数料、登録免許税があります。
両者の金額の違いは次のような感じです。

大きな違いは、公証人手数料と登録免許税。
それぞれ50,000円、90,000円の差があり、合計で140,000円ほど
合同会社のほうが設立コストが安いということになります。

もちろん、この手続を行政書士などプロに頼む場合は
その手数料も上乗せになるわけですが、
いずれにしても、上記の費用は公的な手数料なので変わりません。

最初にコストを抑えて設立したい、という希望があれば
合同会社での設立が良いと思います。

代表者の肩書き

代表者の肩書の違いもあります。
株式会社の場合は「代表取締役」
合同会社の場合は「代表社員」となります。

世間的には、「代表取締役」のほうが
社長をイメージしやすい肩書ではあると思います。
実際に、「代表取締役」の肩書が欲しくて、会社の形態として株式会社を選ぶ人も
いるくらいです。

ただ、これは謄本上、法律上の正式名称で、
対外的な名称、つまり名刺やネット上で名乗る肩書については
(紛らわしいものでなければ)なんでも大丈夫なので、
合同会社でも、たとえば「CEO」「執行役員」「社長」などという名称を使えば
代表取締役と似たような効果はあるでしょう。

上場できるかどうか

出資者が出資した見返りに保有することとなる
株式会社での株式、合同会社での持分。
出資の見返りという点では共通していますが、モノ自体は異なっています。

株式の上場はできますが、持分の上場はできません。
株式は所有と経営の分離(出資者≠経営者)を前提としたものですが
合同会社は所有と経営の一致(出資者=経営者)を前提としており
持分を譲渡することが前提として考えられていないためです。

コスト重視なら合同会社、目的があるなら株式会社

上記の様な理由から、
最初から上場を視野に入れているような場合であるとか、
もしくは大概的な印象を意識するのであれば(まだまだ株式会社の名称のほうが認知度や信用度は高いと思われるため)、
設立当初から株式会社としてしまうのもアリです。
※合同会社→株式会社への、設立後の組織変更はできます。
組織変更計画の作成や官報広告など、設立より難易度が高いので
司法書士や行政書士などのプロの手を借りるのが良いでしょう

とにかくコストを抑えたい!という要望があるのであれば、
まず合同会社にしておけば問題ないのではないかなと思います。