売上から控除されてしまう源泉税は、請求書や契約書の記載の仕方で
多少安くすることができます。
今回はそんなお話です。

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フリーランス・自営業の売上から取られる源泉所得税

個人として仕事をしていると、受け取る売上の内容によっては(+支払う側が義務を有していれば)
源泉所得税が差し引かれて入金されます。
(厳密には復興所得税も含まれますが、以下、説明の便宜上「源泉所得税」とします)

例えば個人のカメラマンで300,000円の売上を上げた時には、
300,000円満額で口座に入金されることはなく、
10.21%の源泉徴収で30,630円ひかれるので、
手取りは269,370円。

一方で法人が売上を受け取るときには、源泉徴収されるということがありません。

源泉徴収は、取られた側の人の税金の前払いである為、
いずれ払うことになる税金ではありますが

源泉徴収された分だけ、手元に置いておける現金は少なくなりますし、

また、確定申告で最終的に税還付という申告結果になるのであれば、
源泉徴収された時には結局ムダに税金を払い過ぎている、ということになります。

手取りを少しでも増やすには→消費税抜きの請求額と消費税を明記+税抜きベースでの源泉計算

この源泉税の計算ですが、請求書や契約書の書き方次第で
少し安めに計算することができます。

それは

消費税抜きの請求額と消費税額を明記し、
消費税抜きベースの請求額に源泉所得税の税率をかけて算出

すること。

源泉所得税の計算は、原則として消費税込みの金額をベースにして、それに税率をかけることで算出されます。
ただし、記載したとおり、請求金額と消費税を別掲するような書き方にしておけば、
源泉税の計算ベースを、消費税抜きの金額としてよい
というルールがあるのです。

参考:国税庁HP No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税

先程のカメラマンの報酬の場合をベースに、税抜金額で源泉徴収額を計算すると、

まず、請求書に書く請求額の書き方を、
消費税込み300,000円

消費税抜き277,778円+消費税22,222円

というような記載に変え、

その場合の源泉所得税額は、
消費税抜き277,778円×10.21%=28,361円。

手取り金額は、消費税抜き報酬277,778円+消費税22,222円▲源泉所得税28,361円
=271,639円

となります。

原則どおりの消費税込みの金額をもとにして算出した源泉所得税を使った手取り金額と比べると、

(税抜き源泉)271,639円-(税込み源泉)269,370円=+2,269円

大体2千円くらい、多めに手元に残ることになります。

いや、2千円くらい…
って思うこともあるかと思いますが、
何件も、何月分もあれば、そこそこの金額にはなります。
その分だけ、手元に置いておける資金が多くできるということは、
多少なりとも安心感をもたらしてくれるものではないでしょうか?

また、手元に残る金額のうち、22,222円は消費税なので、
消費税の納税義務者(原則、2期前の売上高が1,000万円超の事業者)であれば、
いずれ納付が必要な消費税の資金源となるので
別途積み立てておくのが無難なものではありますが、

納税義務がなければ、その消費税分がそのまま自分の収入になります。
(消費税は、自分が納税義務者でなくても、相手方に請求することはできます)

ただ、2023年10月から導入されるインボイス制度により、

消費税の免税事業者が請求する金額を支払っても、
支払い側で仕入税額控除を取れなくなる(支払った消費税として扱えなくなる)ため、
取引の打ち止めを恐れる多くの消費税免税事業者が、課税事業者として登録することになる可能性を考えると、

結局、消費税分は後で納付が必要になるものになってくるので、
さらに効果は期間的な面で限定的となるかもしれませんが、

当面、少しでも手元資金の量を増やすというための手段として割り切ってもらえれば。

手取り増やしたいんなら結局、売上増やすしかないよね…

最後に元も子もないことを言いますが、今回紹介した方法よりも手取りを大きく増やす方法があります。

それは…
売上を増やすことです(どーん)

今回の話は完全に小手先の技なので、
インパクトはそこまで大きくなることはあまりないですが、
チリも積もれば、という感覚の話。

ただ、事業を起こすと、
手元にある現金・預金の残高というのは非常に大事。
ギリギリよりも、余力がある方が安心に決まっています。

お金無くなったら事業終わりですから…

1円を笑うものは1円に泣く、そんくらいの精神で
手元資金をどうやって増やすかを意識することは、
決して馬鹿にできることではありません。