従業員に社宅を貸すときは、基本的にタダで貸してはいけません。
いくらか従業員から賃貸料を回収する必要があります。

■社宅を貸すときは少し従業員に負担してもらう

会社の福利厚生のためであったり、事業遂行上の必要性から、
会社で社宅を用意し、そこに従業員を住まわせることは多くの企業で行われていると思います。

自社所有の社宅を貸すのでも、
会社名義で賃貸物件を借りて従業員に貸すのでも
どちらでも対応は可能ですが、

どちらの場合でも、原則として、従業員から賃貸料に相当する金額を受領しなければなりません。

もしもらわなかったり少なかったりすると、
その部分を給与として課税されてしまいます。

■タダで貸すと給与になる

給与とは、毎月銀行口座に入ってくる現金のほかにも、
経済的利益と呼ばれるものについても
給与としての扱いを受けます。

例えば、
・会社の商品をタダ同然の金額で購入したときの、本来の売値との差額
・商品券やクオカードなどの現物
などが経済的利益となり、
これを受けたりもらったりした従業員の給与として扱われることになり、給与支給時に源泉徴収される金額が多くなり手取りが減ります。

この社宅をタダで貸した場合も、それは経済的利益の供与として、給与と扱われるのです。
(例外的に、守衛さんや看護師さんなど、業務遂行上勤務地から離れて住むことが難しい従業員に対して社宅を貸すような場合には、無償でも良い場合があります)

■従業員が負担すべき金額の算出方法

ただ、冒頭でも書いた通り、
一定の金額以上を従業員からもらっていれば
給与として課税されることはありません。

その一定の金額は、
具体的には、下記の算式により算出します。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

この1から3で算出した金額の合計が賃貸料相当額となり、
この金額の50%以上を従業員からもらっていれば大丈夫です。
これより低いと、その差額が給与として課税されます。

賃貸の場合、支払ってる賃料の50%以上を徴収するケースもよく見ますが、

上記の算式による算出のほうが、従業員負担が安く済むケースが多いので、
まずは固定資産課税評価額を入手し、算定してみると良いです。